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聖夜とタタリガミ
2008-12-26 Fri 21:02

~♪~~~♪

楽しげに流れる音楽にきらびやかに装飾された町並み。

そこらじゅうの木には電球がつけられて、まるで光る葉を茂らせたようで・・・。

町全体が楽しげに、煌めいていた。

理由は簡単で、もうすぐクリスマスだから。

今年はホワイトクリスマスなんてロマンチックなことはなさそうなくらい、空も晴れ渡っていた。

そんな空を見上げながら、ボクはふらふらと駅前を学生の波に飲まれていた。

特にやることもない、行く場所も帰る場所もない。

ふらふら。

ゆらゆら。

まるで川を流れる木の葉のようだなぁ・・・・。

なんて。

空を見て歩き続けるのも危ない、ね

そう思い、僕は空から眼を放して前を見る。

右を見て、左を見て。

人だらけ。

あー・・・・何か嫌だなぁ・・・。

あんまし人混みは好きじゃない。

別にここにも着たくて来たんじゃなくて、無意識だったり。

特に何を考えるでもなく、ただ歩いてたらここに居た。

ふと、目をやるとそこには上機嫌に学校へ向かう女の子が一人。

うきうきというかなんというか。

背中を見ただけでわかる。

その背中に釣られるように、また。

ふらふら。

ゆらゆら。

楽しそうだなぁ・・・。

ボクもあんな風に楽しみたいなぁ・・・・。

そっか、そうだよね。

そう思ったとたん。

プツン

そんな音が耳のすぐ近くで聞こえた。

「あ・・・っ!だ、ダメっ」

気がついてその女の子を見た。

後ろから迫るワゴン車。

耳にイヤホンをさした女の子は気づく様子はない。

僕は走った。

全速力で。

周りの悲鳴。

車のブレーキ音。

僕が現場に着く前に、既に事は終わっていた。

簡単な事だ。

女の子が車に轢かれた。

“ボク”の目の前で、“ボク”のせいで。

「また・・・・やっ・・・・ちゃった」

その女の子に背を向けた。

謝るべきなのだろうか?

「わからない、わからないよっ!」

大きな罪から逃げるように、走りだした。

どこにも、行くあては、ない。

***

「・・・・・ぁ」

気がついたら、そこは川原だった。

日は大きく傾き、夕暮れ時。

土手の片隅で膝を抱えていた。

夕暮れ時の川原に人の影はなく、ボク一人。

罪に苛まれていた。

さっきの事故は僕が起こしてしまったものだ。

意図的ではなく、無意識のうちに。

僕はどうやら死んでいるらしく、さらにたちの悪いことに「祟り神」らしく。

少しでも羨ましがったり、恨んだり。

負の感情が浮き出たらその相手に不幸が降りかかる。

それも無意識のうちにだから性質が悪い。

だからボクは人ごみが嫌い。

ひょんなことで人を不幸にしてしまう。

そんなのもう耐えられなかった。

だから成仏したいんだけど・・・・

「わからないからなぁ・・・・」

仕方がわからない。

何を求めてこうなったのか。

なにに未練があるのか。

何で死んだのか。

わからないままだった。

ウジウジ悩んでも何もないのはとうの昔にわかっている。

結果なんて見えてたらこの世にいない。

けど・・・

「はぁ・・・・・。」

この性格はどうしようもなく。

うじうじ悩みながら膝を抱える。

夕陽に焼けた川原。

まっかっか。

伸びる影もなく。

気づく人もなく。

ひとりぼっち。

うじうじ。

いじいじ。

そんな真っ赤な芝生の上。

ボクの体に影が下りる。

横に目をやると・・・。

目があった。

かわいクリクリした瞳。

女の子の顔。

明らかにボクを見ていた。

見えるはずもないのに?

ボクは幽霊。

祟り神。

うんうん。

そーだよ、見えないもん。

頷いて、ゆっくりと立ちあがって。

逃げr・・・・。

ぎゅっっっっ!!

逃げ・・・逃げっ!?

なんでだか、左手に圧迫感。

そして左手がついてこない。

ぎ、ぎ、ぎ。

後ろを見る。

目があった。

ちょっと、怒って・・・る?

ぷぅーっと頬が膨らんでいて、目は怒っていた。

えぇっと、えぇっと(汗

だからとりあえず逃げ・・・・

「むぅぅぅうぅ・・・・っ!」

グイッと引っ張られた。

「わ、わぁっ!?」

幽霊なボクは当然“浮いて”逃げるわけで。

摩擦力とかそういうの働かないし。

物理?ボクわかんないけどっ!

そういう力に弱い。

だから無理やり逃げることもできなくって。

後ろに引っ張られて、僕は尻もちをつく。

イテテテ・・・。

「むぅぅぅぅ・・・。」

「え、えぇっと・・・・(汗」

見上げれば、顔。

空はほんの少ししか見えない。

「え・・っと。笑ってた方が可愛い・・よ?」

とりあえず、怒りを鎮めないと・・・。

そう思い、考えうるすべての言葉を並べて見た。

「・・・・・・・(ピクピク」

あ、あれぇ?

さらに怒ってるように見える・・・よ?

う、うーん・・・。

「よ・・・・・」

「・・・・・よ?」

「余計なお世話だってーのっ!!」

「はうぁっ!?」

逆効果―っ!?

「ひ、ひぅ・・・ご、ごめんなさーーいっ!」

また、走りだす?ボク。

けれど。

「ちょーっと待ちなさいよっ」

むんずっ

「ひぇぁっ」

また引っ張られた・・・・。

そしてまた彼女の目の前へ。

「な、なんですか・・・?」

おそるおそる聞いてみる。

すごく、仁王立ちが似あうなぁ・・・なんて・・・。

「こんなところで何やってるの?」

ボクの目をまっすぐ見ながら問いかけてくる

グイッと寄った顔。

顔、近いです・・・。

「え、えっと・・・・」

ちらちら。

顔・・・・近いし・・・・。

まともに見れない・・・。

ぐぃ。

顔の両方を持たれて、彼女の顔の真正面へ。

目が目の前っ!?

「え、えとえと・・・か・・・」

「・・・か?かがどうしたのよ?」

「か、おが・・・・」

「・・・・?」

焦って言葉が出てこないしっっ!

「顔が近い・・・です・・・」

「へ?あ。ご、ごめんね?アハハ・・・」

顔が遠ざかる。

苦笑だけど、やっぱし笑顔のほうが可愛い・・・。

「アハハ・・・・笑顔のほうがやっぱ可愛い・・・」

「・・・・余計なお世話よ。」

声は小さいけれど、すごい威圧感!

ボクは威圧感に負けて、姿勢を正す。

彼女ももう一度仁王立ち(顔は近くない)する。

「・・・で?何をしてたの?こんな所で、立ったひとりで。」

高圧的な感じ。

ボクが座っていて、彼女が立っているからかもしれないけど。

「それはー・・・なんというか。ここに居ることの反省というかなんというか・・・」

うーむ、なんともいいずらい。

「ここに居ることへの反省?」

「大本をたどれば生まれてきてしまったことへの後悔というか・・・」

「・・・・重たい悩みね。子供のくせに。」

「・・・はぁ。スイマセン」

ついつい謝ってしまう。

「はぁ・・・・とりあえず、もう日は暮れるし、寒いんだから家に帰ったら?」

「アハハ・・・・」

ぶっちゃけ、帰る家ない。

幽霊だし。

寒くないし。

「私も帰るし・・・」

そういって、仁王立ちが治る。

うーん・・・。

どうしよう、か。

帰れっていってもなぁ・・・・

言えないし、家がないなんて。

てゆか、僕が幽霊ってこと気がついてないとか。

・・・・・ないんだろうなぁ、気がついて。

「・・・・こーらっ!人の話を聞きなさい!ぼーっとして!」

「ふぇ?」

気がつけばまた顔が近い。

「はぁ・・・まぁいいわ。」

ボクの目の前でため息をついて、顔が遠ざかる。

今度は2度目で冷静だ。

ボク、成長したね。

遠ざかっていく顔からほんのりと優しい香りがした。

シャンプーの匂いかな?

そうこうしているうちに後ろを向いて。

「じゃあね」

さっきの匂いよりもっと。

優しい笑みを残して

背中は遠ざかって行った。

ボクはまた一人になった。

暮れる空。

赤から青へと変わりゆくグラデーション。

一番星、きらきら。

そんな空を見上げて、僕は芝生にねっころがった。

やっぱりボクは。

どこにも、行くあては、ない。
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